先月27日、京都府警は府警少年課の30代男性巡査が、オンラインカジノでギャンブルをしていたことにより、賭博容疑で書類送検しました。その後、この事件の進展は報道されていません。
巡査は書類送検された後、どうなる可能性があるかを探ってみましょう。
【書類送検】とは、身柄を拘束されていない犯罪の疑いのある被疑者の事件記録や捜査資料を警察官が検察官に送る手続のことをいいます。
書類送検された時点では前科は付きません。書類送検後に被疑者が検察官に起訴された場合、その後の裁判で有罪判決が確定すると前科がつきます。
今回の事件は書類送検されたので、これから検察が被疑者(巡査)を起訴するかどうかを判断することになります。
2016年3月、京都府警は「スマートライブカジノ」というオンラインカジノでプレイしていた3人のプレイヤーを逮捕しました。
逮捕された3人のうち2人は略式起訴(裁判をせず罰金刑にして事件を終わらせる)を受け入れ、罰金を支払いました。しかし残りの1人は略式起訴を受け入れず、裁判で争う姿勢を見せると、検察官は不起訴としたのです。
一般的に、起訴されると有罪判決を受ける割合は99%だといわれています。それは、有罪判決を得ることができる事件のみを検察官は起訴しているためです。
不起訴としたのは、日本には現在オンラインギャンブルに関する法律がなく、海外で現地法に基づき合法に運営されているオンラインカジノを日本の刑法で裁くことはできず、そこで賭けを行うプレイヤーたちを裁く法律がないからだと言われています。
その頃と状況は変わっておらず、海外で合法に運営しているオンラインカジノで被疑者が賭けていた場合、起訴される可能性は低いのではないかと思われます。
これまでのオンラインカジノ関連の逮捕事件を振り返ると、先に述べた2016年3月の「スマートライブカジノ」の逮捕者3人のうち二人は略式起訴を受け入れ罰金刑、一人は略式起訴を受け入れず裁判で争う姿勢を見せると、「不起訴」となりました。
同じく2016年6月には、ドリームカジノの運営者5人が逮捕されました。ドリームカジノは一見、海外で合法に運営しているオンラインカジノに見えましたが、実は日本国内で運営されていたことが違法となり、有罪判決となりました。
その他のオンラインカジノ逮捕事例は、全て日本国内で運営されていた闇カジノの運営者と、そこでプレイするプレイヤーによる事件です。
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山口県阿武町で、463世帯分の新型コロナウイルス給付金4,630万円が一人の男性に誤って振り込まれ、その男性がオンラインカジノで使ったという事件が話題となりました。この男性は電子計算機使用詐欺の罪に問われましたが、【賭博罪】には問われていません。
また、過去には秋田の20代男性公務員が勤務中、頻繁にオンラインカジノでプレイしていたというニュースがありましたが、こちらも6か月間の減給とする懲戒処分となり【賭博罪】には問われませんでした。
これらの事件ではオンラインカジノでプレイしていたという証拠は十分にありますが、賭博罪に問われていないことを考えると、今回の事件の巡査も不起訴となる可能性が高いと推測されます。しかし起訴された場合、裁判でどの刑法が適用されるのかが注目されます。
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