アマゾンの子会社が運営するTwitch(ツイッチ)は、ストリーミング分野で依然として圧倒的な強さを誇っていますが、Twitchを倒すための競争は過熱しています。ストリーミング戦争が続くなか、ライバルのKick(キック)は、ギャンブルコンテンツのサポートのおかげもあって、地歩を固めつつあります。
Kick.comはオンラインカジノ&ブックメーカーStake(ステーク)のCEOが共同設立者となり、今年始めに設立されました。ストリーミング業界で徐々に人気を集めており、その成功は「xQc」や「Amouranth」などのトップストリーマーとの契約によって後押しされています。
StreamCharts.comによると、8月はKickが設立以来初めて1億視聴時間を達成した月でした。スロットとゲームコンテンツがその大きな部分を占めています。
同プラットフォームの視聴時間は前月比で増加しており、平均同時視聴者数は13%増加しています。しかし、5月から7月にかけて右肩上がりだったピーク時の視聴者数は、8月には25%減少しました。
Kickの人気コンテンツ1位は「Just Chatting」カテゴリーで、7月の数字から33%増加し、視聴時間は3,400万時間に達しました。しかしその一方で、ピーク時の同時視聴者数は同程度に減少しており、視聴者の維持が常に課題であることを示しています。
2位は「スロット&カジノ」で、7月と比較して57%の伸びを示しています。月間を通じてほぼすべての指標で伸びており、Kickのゲーム分野への注目度が功を奏していることがわかります。
中でも「グランド・セフト・オート(GTA)V」のスロットが人気で、月間で最大の増加率を記録しました。これは主に、ビデオゲームを取り巻く最近のアップデートやニュース、そしてKickへのGTAストリーマーの参加が増加したことによるもので、700%増加となりました。
ギャンブルコンテンツがストリーミングプラットフォームにとって有利で重要であるのと同様に、コンテンツプロバイダーは変化に対応しなければなりません。KickからTikTokに至るまで、あらゆるSNSやプラットフォームが立法機関や規制当局からの監視の目を向けられており、オンラインコンテンツを自由に配信できる時代は長くは続かないと思われます。
フランスをはじめとする他の国々は、インフルエンサー主導のギャンブルコンテンツに対してすでに強い姿勢を示しています。欧州連合(EU)も同様の立場を検討する可能性が高いと考えられます。
デンマークのギャンブル規制当局であるSpillemyndighedenは、国内でライセンスを保有していないオンラインゲームプラットフォームを宣伝したとして、ストリーマーに罰金を科したばかりです。このストリーマーは1,340ユーロ(約21万円)を支払わなければならず、規制当局は他のストリーマーや企業もこれに続くだろうと警告しました。
取り締まりを強化しているのはヨーロッパだけではありません。Twitchがギャンブルコンテンツに対するスタンスを変えるように仕向けたのは、アメリカが関係していると言えます。Twitchは昨年9月、米国または他の主要な司法管轄区でライセンスを取得した事業者でない限り、ギャンブルコンテンツを許可しないと発表しました。
フィリピンも同様に、より強い立場を取る可能性が高いと思われます。インフルエンサーに対し、認可を受けていないゲームプラットフォームを宣伝しないよう強制するキャンペーンが現在進行中です。政府主導の取り組みではありませんが、立法府におけるオンラインゲームに対する見方は間もなく変わる可能性があります。
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