「サンシティ」の創設者でありCEOのアルビン・チャウは、マカオの控訴裁判所(第二審裁判所)により、マカオ政府に対する詐欺罪については無罪となりましたが、犯罪結社の罪については依然として有罪とされ、18年の実刑判決を言い渡されました。
また、チャウとサンシティがマカオ政府に支払わなければならない賠償金は、3倍に増額されました。
マカオの元ギャンブル王チャウは2021年末に逮捕されるまで、マカオで最も裕福で権力のある人物の一人でした。サンシティは市場最大のジャンケットオペレーターで、世界最大のギャンブルシティ、マカオでVIP総収入の推定25%を生み出していました。
しかしチャウは1月、他20人のサンシティ被告とともに、162件の詐欺罪、違法賭博罪、犯罪結社罪で有罪判決を受けたのです。
これらの有罪判決の多くは、2013年から2021年にかけて、サンシティがVIP顧客に不正な「アンダー・ザ・テーブル」ベットを提供していたことに関連しています。アンダー・ザ・テーブルとは、隠れて(または不正に)行うという意味があり、VIP顧客がマカオのカジノで実際に行った賭けに対して裏で倍賭けする仕組みで、後に非課税でこっそりと決済されていたのです。
サンシティはまた、フィリピンとカンボジアからオンラインギャンブルサイトを運営し、違法にマカオと中国本土のプレイヤーをターゲットにしていたことがわかりました。
2月、チャウ被告の弁護団は判決を不服として控訴しましたが、同時にマカオ検察総局は3.5年の刑期延長を裁判所に申し立て、合計21.5年の刑期を求刑しました。
検察によると、チャウとサンシティはマカオ政府から82億香港ドル(約1,568億円)の税収を騙し取った(詐欺)と主張していました。
裁判所は詐欺罪についてはチャウを無罪としましたが、「犯罪企業サンシティ」がアンダー・ザ・テーブル・ベットで22億5千万米ドル、違法なオンライン賭博で10億米ドル弱を生み出したと判断しました。つまり、チャウと仲間のサンシティ被告らは、マカオ政府に32億米ドル(約4,800億円)を支払わなければならなくなったのです。
それが今回の判決につながり、チャウは減刑に失敗したうえ、約3倍の賠償金を政府に支払わなければなりません。
チャウが刑期短縮に失敗した一方で、4人の共犯者の刑期は15年から12.5年に短縮されました。
チャウの逮捕と有罪判決、同じくジャンケットオペレーター「タク・チュン」のCEO レボ・チャンの同様の容疑による有罪判決は、マカオにジャンケット業界の改革、規制するための法律を通過させることとなりました。
現在、マカオで営業している認可されたジャンケットはわずか14社です。2014年のマカオ全盛期には40社以上あったのと比較すると、3分の1に減っています。
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