ロシア当局とつながりがあるとも言われているオンラインブックメーカー/カジノの「1xBET」が、破産に追い込まれているという数々の報道を非難しています。事の発端はメディア「Josimar」によるニュース記事でした。
「Josimar」の記事は、オランダの最高裁がキュラソー島の下級裁判所の判決を支持し、ライセンス取得企業1xBETが閉鎖に追い込まれる可能性があると主張しています。1xBETは1月25日付のプレスリリースでこの疑惑を否定しており、Josimarからの情報は「同社の信用を失墜させる目的のものだ」と主張しました。
👩🏫 破産宣告とは? 裁判所が債務者に対して破産手続きを開始する旨の決定を下すこと |
しかしJosimarはこの情報の第一発信者ではなく、最初にこのニュースを報じたのはCuraçao Chronicleというキュラソー島の総合ニュースサイトで、その後 Josimarがこのニュースをもとに情報を発信しました。
1xBETは、Josimarを『訪問者の少ないスポーツサイト 』と呼び、その信頼性を軽視しようとしているように見えます。さらに1xBETは、このサイトの記事は「事実無根の不正確な情報で埋め尽くされている」とも述べており、となればキュラソー島のニュースサイト Curaçao Chronicleも事実無根の不正確な情報を流したことになります。
しかしこれまでの裁判の経緯を追うと、1xBETの所有者である1xCorpはキュラソーでの破産宣告を不服とし、オランダ最高裁判所に上訴しましたが、最高裁判所は審査の結果「判決(破産宣告)の取り消しに繋がることはない」とし、上告を棄却したことが分かります。
この判決は最高裁判所の公式サイトで一般公開されており、こちらからご覧いただけます。(オランダ語ですが、英語に切り替えて閲覧することができます)
ギャンブル消費者のための支援団体は、過去数年間、1xBET(キュラソー島では1xCorpとして事業展開されている)と争ってきたと伝えられています。この団体は、1xBETがユーザーたちへ日本円にして1億円以上にのぼる賞金を支払わなかったと主張し、支払いを求めました。裁判所は1xBETに支払い義務があるとしましたが、払われていません。
この裁判はオランダ最高裁判所まで持ち込まれ、「支払い不履行」と「破産申請」について言及しており、前述したように1xCorpが破産宣告を不服として行った上告を却下しました。このニュースが多くのサイト(主に英語サイトやオンラインゲーミングのニュースサイト)で報道され始めると、1xBETはプレスリリースで「1XCorpとは無関係」だと述べました。
1xBETは「フランチャイズモデル」で運営されていると述べ、「キュラソー島の会社である1xCorpが1xBETのオーナーであるというのは誤りである」と主張しています。しかし「1xCorp」が「1xBET」のオーナーであることを示す証拠は数多くあると言われています。
現にジャパンギャンブラーズも、2021年に1XBETの公式サイトに運営者名とライセンス表記が見当たらないことをサポートに尋ね、ライセンスの有無を確認させてくれと迫った際に送られてきたものが以下のライセンスです。
1xCorpがキュラソー島で破産宣告を受けた直後、破産を逃れるために様々な工作を行うだろうとまわりから推測されてきました。
破産宣告後、1xBETはこれまで1xCorpと記載されていた企業名と取引名を変更しており、キュラソー島での破産手続きを担当する弁護士は、1XBETの所有者が何度も変わったことに注意を促しています。
また、プレスリリースで1xBETは世界で最も急成長している最大のギャンブルブランドの1つ、と述べていますが、法律で規制されている英国やその他の多くの国で、1xBETはライセンス剥奪、強制退去となっています。
オンラインギャンブルの企業が集まるマルタでも以前はアクセスできましたが、マルタでの運営ライセンスも無くしたのか、現在はアクセスできません。
そのため、現在は主に規制が緩い国や規制のない国(これには日本も含まれます)となる南米やアフリカで事業を拡大しようとしているようです。
1xBETが、破産に追い込まれているという第一報を発信したキュラソーの総合ニュースサイト、Curaçao Chronicleによれば、破産宣告には債務者である1xCorpが支払いを停止していること(すなわち債務を支払っていないこと)が前提となり、最高裁は支払期限の到来した債権を一つも支払っていないことは、破産宣告となるのに十分であるとしています。
1xCorpが他の債務を選択的に支払っていたり(キュラソー政府も未納税金約1億8,000万円を要求して訴えを起こしており、インド政府は税金を払っていないと非難)、たとえまだ手元に十分な現金があったとしても、この破産宣告の妨げにはならないと報じています。
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