ジブラルタルはイギリスの海外領土で、2014年にオンラインゲーミングのライセンス発行を開始しました。ジブラルタルライセンスはほとんどがB2C(企業対顧客)事業者に対して発行されていますが、唯一の例外は、クライアントサポートサービス運営のために発行されるB2Bライセンスとなっています。
ジブラルタルはオンラインカジノのライセンスとしてトップクラスと認識されていましたが、最近はプレイヤーの利益や権利について関心がないと思わせる事柄があり、信頼度はやや落ちています。
ジブラルタルは1998年にオンラインギャンブルの規制を開始し、オンラインギャンブル規制のリーダー的存在となりました。現在、この地域の有利な税法により、多くの企業がジブラルタルを拠点に事業を展開しています。
ジブラルタルがギャンブルの規制を始めた当初は、Gibraltar Regulatory Authority(通称GRA)が規制の責任者でした。その後、GRAはジブラルタル政府のギャンブル部門に組み込まれ、現在オンラインギャンブルの規制を担当しているのもこの部門です。
とはいえ、実際にはゲーミング事業者(オンラインカジノやブックメーカー)にライセンスを発行するのはジブラルタルライセンス局で、この局はライセンスの配布に非常に厳しいことで知られています。厳しいライセンス条件を課すとともに、ライセンシーがライセンス条件を遵守しているかどうかを定期的に確認しています。
ジブラルタルライセンスの申請手続きは他のライセンスと比較すると迅速で、書類の処理に14日~90日、ライセンスは5年間有効、その後、有効期間を延長するために再申請する必要があります。
ジブラルタルライセンス局が発行するライセンスは7種類あり、それぞれ条件が異なっています。
リモートギャンブルライセンスは、オンラインカジノがプレイヤーを受け入れるために必要なもので、厳しい規則と要件が適用されています。
信頼性の高いライセンスと認識されているものの、ゲームに関する知識の欠如や、厳しい基準に達していないと思われるオンラインカジノへライセンスを発行しているとの声も上がっています。
とあるゲームプロバイダーがHilo and ReelDealという欠陥ゲームを提供していたことが問題視されたことがあり、この時、ジブラルタルライセンス当局が声明を発表するまでに数か月かかりました。更にその声明からは、ゲームがどのように機能すべきかについての知識が欠けているように感じます。
また、他のケースではオンラインカジノの規約を読んでいないのか、もしくはプレイヤーの保護や権利を無視しているような規約を見て見ぬふりしている感があります。
10.3 あなたが引き出すことのできる最高額は、30営業日ごとに2万米ドル(またはユーロ・英ポンド、もしくは他の通貨で相当額)であることに同意するものとします。2万米ドルを超える賞金は、引き出し申請額の全額に達するまで30営業日ごとに支払われるものとします。この条件は、プログレッシブジャックポットの賞金にも適用されます。 |
通常、プログレッシブジャックポットの賞金は一括で支払われます。
つまり、ジブラルタルライセンスはこのような不正な条件を強制することに目をつぶっています。
【プレイヤーの資金と個人データの保護】を重視し、非常に厳しいはずのジブラルタルライセンスにしては、少々疑問に感じる部分です。
ジブラルタルライセンスを持つ企業は約30社と少ないですが、その多くは非常に高い運営基準を保った大企業です。(例えば老舗のウィリアムヒルの日本市場はマルタライセンスで運営、英国では英国ライセンス、その他の国のいくつかはジブラルタルライセンスで運営などとなっています)
そのせいか、詐欺集団の摘発はしっかり行われているものの、プレイヤー側よりもやや運営者寄りなライセンスと思われる兆しがあります。
ただ、ゲームがどうあるべきか、の知識の欠如やジャックポットの分割払いなどはジブラルタルライセンスだけでなく、他のライセンスでも同じことが言えます。欠陥ゲームや不正ゲームを放置していたり、怪しいオンラインカジノにライセンスを配布している規制当局もありますからね・・・
ジブラルタルライセンスは、ウェブサイトやモバイルアプリが未成年のギャンブル参加を防ぐために十分な技術を備えていることを証明する必要があったり、自己排除やタイムアウト期間などのツールが必須だったりと、責任あるギャンブル対策をしっかり行っています。
少なくとも、ジブラルタルライセンスを持つオンラインカジノ一覧のサイトは、他のライセンスより厳しい基準に沿った運営をしていると言えるでしょう。