結論から申し上げると、現在ネット上で見られるオンラインカジノサイト(オンラインカジノ・オンラインブックメーカー・オンラインポーカーを含む)に関しては、競馬や競艇などの公営ギャンブルを除いて法律がありません。
よって、違法とはみなされませんが、合法とも認められていないことになります。
そのため、白でも黒でもない「グレーゾーン」と表現されているのです。
しかし、オンラインカジノが完全に違法となる【条件】が存在します。
これは、オンラインカジノが日本の法律で違法となる部分に触れている場合に適用されます。
ではどんな場合が違法になるのでしょうか?
これまでの裁判事例とその判決を振り返って見ていきましょう。
オンラインカジノの法的な部分に関して興味のある方は必読です!
公営ギャンブルとオンラインギャンブルの違いは? |
基本的に日本の賭博に関する法律は、その昔、「違法な運営側を裁くため」に制定されました。
日本国内で許可なく運営されているカジノや賭博場が違法なのは、皆さんご存じでしょう。
違法な賭博場では、そこでプレイするプレイヤーも「咎められ」ます。
しかし、オンラインカジノの運営社は海外に拠点を置き、ライセンスを持ち、規制の下に【合法】に運営を行っています。日本の賭博法は1884年に制定された古いもので、海外の企業によるオンラインギャンブルを想定しておらず、これらの企業を日本の法律で裁くことはできません。
また、日本人が海外のカジノでプレイしたからといって、違法ではありませんね。しかし海外運営のオンラインカジノで賭けが行われている「場所」は、海外なのか日本なのか、というのが明確ではありません。
合法に運営されている海外のオンラインカジノで、日本からパソコンやスマホからプレイした場合、運営社が合法なのにプレイヤーのみを裁くことはできるのでしょうか?
警察庁が「オンラインカジノは犯罪です!」というページを公開していますが、そのページには「違法」という言葉は一度も使われていません。これまで合法に運営しているオンラインカジノを利用していたプレイヤー側の逮捕者は、すべて略式起訴で自ら罪を認め、罰金刑(単純賭博罪)で終わっています。
そもそもオンラインカジノをはじめとするギャンブルサイトも、オンラインギャンブルが違法とされている国からのアクセスをブロックしているものなのです。違法な国でギャンブルを提供していることがギャンブル委員会に分かると、膨大な罰金を科せられますからね。
オンラインカジノだけに限らず、オンラインブックメーカーもオンラインポーカーも同じ立ち位置にいます。
そもそもオンラインゲーミングの事業者は、規制されている国では運営できません。オンラインギャンブルサイトが登録を受け入れている国や地域は、合法であるか、もしくは日本のようなグレーゾーンの国なのです。
2020年に最も大きなポーカー世界大会(WSOP)がコロナの影響でオンライン上で行われましたが、この時も規制されている国(アメリカの多くの州を含む)からの参加は不可能でした。
登録ができるということは、規制されていないということになります。
事業者が規制されている国からのプレイヤーを受け入れた場合、高額の罰金支払いや、ライセンス剥奪となる可能性もあるのですから。
インカジはインターネットカジノの略で、同じ意味のように思えますが全く異なるものです。
インカジはいわゆる「闇カジノ」「裏カジノ」のことで、ライセンスを持たず、違法に運営しています。
よくマンションの一室などでプレイできたり、実店舗を持っていることもありますが、このようなライセンスを得ていないカジノは違法です。
そもそも日本で店舗を構えて現金化できるギャンブルは、公営ギャンブルかパチンコ店でない限り違法です。
そんなインカジでプレイをすると、個人情報の漏洩やソフトウェアの不正操作も考えられますし、ジャックポットなど当たるはずもありません。
さらには突然いなくなる、勝利金の未払いなども考えられます。
インカジは明確に違法で、従業員を含む運営者は【賭博場開張等図利罪】にあたり、インカジを利用するプレイヤーは【賭博罪】が適応されます。
国内でもこれまでに数多くのインカジが摘発されており、そこにいたプレイヤーも有罪となっています。
これまでにはオンラインカジノにまつわるいくつかの事件がありました。
これらの事例を見て、実際にオンラインカジノがどういう立ち位置にいるかを見ていきましょう。
2016年3月、スマートライブカジノでプレイしていた3人のプレイヤーが逮捕されました。
スマートライブカジノは日本人専用テーブルがあり、日本人コミュニティが形成されていました。
京都府警はこれらを日本人向けのサービスとみなし、捜査へ。
スマートライブカジノではライブカジノのニックネームがアカウントネームそのものとなっており、逮捕された3人はブログやSNSでプレイ内容を公開していたことから、本人特定が出来たようです。
逮捕された3人のうち2人は略式起訴を受け入れ、罰金を支払いました。
略式起訴とは、被疑者の異議がない場合に限り、裁判をせず罪を認め罰金刑にして事件を終わらせること。
しかし残りの1人は略式起訴を受け入れず、裁判で争う姿勢を見せました。
すると、検察側は不起訴としたのです。これは、スマートライブカジノが合法的に運営されており、裁判で争った場合、有罪にするのは難しいと判断したからだと言われています。
実際、どの刑法が適用されるのか?という疑問があります。罰金を払った二人は単純賭博罪として罰金を払ったようですが、裁判になった場合、法律に則って判決が下されます。賭博罪の定義が古くあいまいな場合、最終的な判決は裁判官によって異なる可能性があるでしょう。
2016年の6月には、運営者5人が逮捕されるという事件がありました。
ドリームカジノはライセンスを持っており、1万人の利用者がいたようです。
ではドリームカジノはライセンスを持っていたのに、なぜ逮捕されたのでしょうか?
実はこのドリームカジノ、イギリスにサーバを設置しているのまでは良いのですが、運営が日本(大阪)で行われていたということが違法となる事件でした。
逮捕された運営者5人のうち1人は懲役3年、執行猶予4年、約750万円の没収、2人は懲役1年6か月、執行猶予3年(求刑それぞれ懲役1年6月)の有罪判決が下されました。
プレイヤーはどうなったかというと、警察から事情を聴かれる者もいたものの、罪に問われた者はいません。
こういうケースもあることから、ジャパンギャンブラーズはライセンスだけでなく、海外にオフィスを構え、実際にカジノ関係者と会って日本で運営していないオンラインカジノを厳選しています。
こちらは逮捕ではないのですが、話題になったニュースです。
2015年に、秋田の財務事務所に勤務する20代の男性公務員が、勤務中、頻繁にオンラインカジノでプレイしていました。
8か月間になんと174回も勤務中にオンラインカジノへアクセスしてプレイをしていたとか。休日を除くと、ほぼ毎日プレイしていたことになります。
同僚が不審に思い上司に相談、そして発覚しました。これにより男性公務員は6か月間10分の1の減給とする懲戒処分を受けましたが、オンラインカジノをプレイしていたことにより逮捕されることはありませんでした。
男性公務員が行っていたのがオンラインカジノでなくても、JRAやボートレース、競輪で賭けていたとしても、はたまた漫画を読んでいても同じ処分を受けていたでしょうし、この処分は当然とも言えます。
2022年4月、山口県阿武町で新型コロナウイルスの給付金463世帯分4,630万円が、誤って一人の男性に振り込まれた事件がありました。この男性は4,630万円を銀行口座から移し、「オンラインカジノで使った」と語りました。
実際に全額をオンラインカジノに使ったかどうかは分かりませんが、少なくとも一部をオンラインカジノに使ったのは事実です。この事件は世間を騒がせ、注目されましたが、この男性は電子計算機使用詐欺の罪に問われ、賭博罪には問われませんでした。自らオンラインカジノで使ったと自白しているのにもかからわず、です。
この事実を知ると、裁判で賭博罪に問うのは難しいのか?と思わずにいられません。
2023年4月、京都府警の巡査がオンラインカジノで賭けを行い、書類送検されました。
書類送検とは、逮捕されるわけでもなく、裁判で争うこともありません。よって、前科も付かず、「注意」のようなものです。どちらかというと、この書類送検で世間のオンラインカジノプレイヤーに「注意」を促したかったように見える事件でした。
2023年9月、オンラインカジノでプレイしている動画を生配信していた自称ユーチューバーの男性が逮捕されました。かなり長い間YouTubeで配信していたようで、逮捕時には「常習賭博罪の疑いで逮捕」と報道されましたが、千葉日報によると結局は略式起訴で50万円の罰金刑となったようです。
罰金刑という事は、この男性は罪を認め、単純賭博罪(常習なら懲役なので)で終わらせたと思われます。配信していた期間は長いはずなのに、常習ではなく単純賭博罪(罰金)で終わったことにも疑問が残ります。
2023年9月、オンラインカジノやブックメーカーの入出金方法としてサービスを提供していた、スモウペイ(SUMO PAY)という決済代行業者の役員二人が、「常習賭博ほう助」の疑いで逮捕されました。
「ほう助」とは、手助けする、後押しするような行為のこと。オンラインギャンブルサイトでは様々な決済方法が提供されているのに、なぜスモウペイ(SUMO PAY)の社員だけが逮捕されたのでしょうか?
この二人は日本にいたようで、日本で運営していたことが逮捕につながったと思われます。また、スモウペイを利用していた顧客の中から、18人が書類送検されました。
以上の事件を振り返ってみると、「法律がない」というのが鍵なのが分かりますね。
これまで、法廷で争われたケースはまだなく、逮捕者は皆、単純賭博罪の罰金刑を受け入れています。ただ一人、略式起訴を受け入れなかった者は、不起訴となりましたから。これには、現在の日本の法律は海外企業が合法に運営しているオンラインカジノを罰することができず、捜査当局はサーバ管理者の協力なども得られないため、証拠集めが困難なためとも言われています。
では今後、オンラインギャンブルに関しての法律はできるのでしょうか?
日本に初のランドカジノが完成した場合、賭博法に追加される項目は出てくることでしょう。
しかしオンラインギャンブルに関する法律がいつできるのかは、ワタクシにも想像ができません。
またプレイヤーが逮捕され、略式起訴を受け入れなかった場合はまた不起訴となるのか、裁判で争われるのか、常習賭博罪で懲役もしくは他の罪に問われるのか、はわかりません。しかし無罪になれば、その時は「オンラインカジノは罪にならない」ということになってしまい、検察側の思惑と反対の方向に向かってしまう危険性も考えられます。
何しろ裁判で争われたケースはまだないのでいろんな意見が述べられていますが、今後どうなるか、はっきりと知る者はいません・・・。