マルチベット(コンボベットやアキュムレーターなど呼び方はいろいろ)は夢のあるベットです。
幾つかの予想を1つのベットとして賭けるマルチベットは、複数の予想から1つでも予想が外れるとそのベットは負けとなってしまいます。
15レッグ(通り)のマルチベットを的中させ、1枚の硬貨が数千万になった、なんて話を聞くと「試してみようかな」という気分にもなるでしょう。
しかしこれは、宝くじの考え方と似ていて、小さく賭けて大きく勝とうとする行為です。
スポーツベッティングを楽しむことを第一に行っているのではなく、利益を上げることを重視して行っている人にとっては、正しい試合を選び、個別に賭けることが勝利への公式です。
マルチベットで大きな勝利を狙うことに反対はしませんが、注意が必要です。
マルチベットを「どんな時に」「どのくらい」ベットすればよいのかを考えてみましょう。
利益重視、スポーツベッティングで稼ごうとお考えの方なら、自分が行ったベットの勝率もそこそこなものでしょう。
スポーツベッティングで利益を得るためには、ブックメーカーのビグ(胴元の取り分)も勝たなければなりません。
どういうことかというと、オッズがすべて2.0のマーケットに10回賭けたとして、利益を得るためには50%の的中率では利益は出ません。とんとんで終わります。
全てオッズ2.1のマーケットに10回賭け、50%の的中率だった場合、少しの利益が生まれます。正確には、全て2.1オッズに賭けて利益をあげるには、47.6%以上の的中率が必要です。
しかし、この2.0オッズのマーケットに賭けた時の勝率は50%ではありません。マネーラインのベットの場合、2.0オッズなら負ける確率の高い方のチームでしょうし、さらに2.0オッズにはブックメーカーのビグも含まれているため、このベットの勝率はもっと低くなると考えられます。
オッズは低ければ低いほどベットが当たる確率は上がりますが、あなたの総ベットの的中率は高くなければなりません。
一方、マルチベットを当てる難易度ははるかに高くなります。
マルチベットは1つでもハズレると「負け」となってしまうので、当然堅い試合を集めてマルチベットをしよう、ということになるでしょう。
例として、がちがちに堅いと思われる、勝率90%のオッズ1.11を10ベット集めてマルチベットしたとします。
全てオッズ1.11の10レッグ(通りのマルチベット)の場合、当たって提供される配当は
1.1110 = 2.8394
です。2.84のオッズの場合、このベットに勝つ確率は35.2%(シングルベットの場合ですが)です。
数学的に、90%で当たる確率のものを10連続で当てる確率は34.86%となります。
しかしこれは、90%で当たるという確実さを前提としての事。スポーツでは選手の体調やチームワーク、環境などにも左右されるため、各試合につきこの不安定さがあると、確率も下がります。
勝率83%のオッズ1.2を10マルチベットしたとすると、当たる確率はもっと下がり、16%ほどになります。
基本的にマルチベットはおすすめしません。
特に、「3以上のマルチベットに$20以上をベットしたらフリーベット進呈!(オッズ1.5以上)」のようなオファーがブックメーカーからありますが、オッズ指定があるだけでこのマルチベットはほぼ負けるベットと言えます。
反面、がちがちに堅いオッズ1.10~1.30のようなマーケットにベットしても配当が少なすぎる・・・大金を投入してもし負けたら・・・という場合はこれらの堅いマーケットを3~5程集めて小額をベットするのは良いかと思います。
とはいえ、通常5つ以上の堅い試合を組み合わせても、その中の1つ2つに番狂わせがあるのも珍しくありません。
資金があるなら、やはり個別にシングルベットをすることをお勧めします。
あとは勝利した際に、小額で夢を見ながらマルチベットをしてみるのであれば、それも楽しいでしょう。
ワタクシ自身、たまに堅い試合を合わせてマルチベットをしますが、最高で7レッグを当てたのが1度だけ、後は3~5レッグの1つがハズレて負け、という事がほとんどです。
そのためにも、マルチベットでもあまり大きなベットをしないようにしましょう。
スポーツベッティングでは常にアドレナリンが溢れ、エキサイトできますが、最終的には勝った方がより楽しくなるものです。
もちろん、一度に大きな現金を獲得したいと願うのはみな同じ。そんなマルチベットの魅力に惹かれるのはわかりますが、マルチベットで一貫して勝利するのは不可能です。
詳しい統計を持っている、自分で決めた規律を守る、戦略的な賭けるタイミングやスポットを持っている、といった場合は、一攫千金を狙わずシングルベットで長期的な利益を得る方が賢いと言えます。
株式投資や子育て、ビジネス運営と同じように、安定した手段を使うことが一番、シングルベット(いろんな種類のね)に焦点をあて、物事をシンプルに保つことはシャープ(プロベッター)も実践しているブックメーカー戦略なのです。