2018年の流行語大賞トップ10にも入賞した【eスポーツ(イースポーツと読む】ですが、言葉は知っていても【eスポーツ】が一体何なのか、を未だに知らない方も多いのではないでしょうか。
簡単に説明すると、「eスポーツ」とは「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、ビデオゲームやコンピューターゲームの対戦型ゲームを個人、またはチームで対戦する競技です。
この【eスポーツ】が世界中で大変な盛り上がりを見せているのです!
今や世界中で行われている【eスポーツ】大会の賞金は30億を超えるものも多く、プロゲーマーの年収は1億を超えることも珍しくありません。
しかし、日本は【eスポーツ】後進国と言われています。
流行語大賞トップ10に入っても、日本での【eスポーツ】人気は世界の盛り上がりと比べると比較になりません。
少しずつですが日本でも注目度が上昇している【eスポーツ】について、少し学んでみましょう。
「スポーツ」と呼べるのかという疑問の声もありますが、アメリカではすでに【eスポーツ】はスポーツだと認められており、ゲームをプレイするプロのゲーマーもスポーツ選手として認められています。
2018年にジャカルタで行われたアジア競技大会では、デモンストレーション種目としてeスポーツが競技されました。2022年に杭州で開催される同大会では、正式にメダル種目として競技されることが決まっています。
オリンピック種目としては【eスポーツ】で競技される一部ゲームの暴力性や利権問題などいくつか考慮すべき課題もあり、2024年に開催されるパリ・オリンピック/パラリンピックの新種目としても【eスポーツ】は検討されていましたが、2024年大会に採用するのは時期尚早という判断となりました。
しかし、オリンピックの公式大会ではスポーツを模倣したゲームに関しては検討されています。
eスポーツのゲームと言っても、シューティングゲームもあれば格闘ゲーム、カードゲームなどその種類は様々。
一般的にeスポーツの競技種目となるゲームは、プレイヤーのスキルが必要なものとなっています。
ゲームジャンルの説明と、代表的なゲームをご紹介します。
ゲームジャンル | 概要 | 代表的なゲーム |
FPS
(ファースト パーソン シューティング) |
シューティングゲームの一種で画面に見えるのはプレイヤーキャラクターの腕などと武器/道具のみ。ゲーム中、プレイヤー視点(一人称=ファーストパーソン)で移動し、武器を使ったり素手などで敵と戦うアクションゲーム |
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TPS
(サード パーソン シューティング) |
シューティングゲームの一種で、画面にはプレイヤーキャラクターの全身が見える。主人公を第三者視点(サードパーソン)で追うアクションゲーム。ゲーム中、プレイヤーの意思で移動し、素手や武器などを使って敵と戦う |
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RTS
(リアル タイム ストラテジー) |
俯瞰的視点で戦場を大局から見据え、戦略・戦術を立てて敵と戦うシミュレーションゲーム |
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MOBA
(マルチ プレイ オンライン バトル アリーナ) |
4~5人のチーム同士で戦い、敵の陣地を破壊することを目的としたゲーム。チーム内のメンバーの配置や攻撃と防御の人数割り振りも重要になる |
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格闘ゲーム | 主に1対1でプレイヤー同士が操作するキャラクターが格闘技等で戦う対戦型ゲーム |
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SPG
(スポーツ) |
サッカーやバスケットボールなどをそのままビデオゲームにしたもの。一人で複数の選手を操作するものが多い |
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DCG
(デジタル カード ゲーム) |
2人プレイの対戦形式デジタルカードゲーム。カードでデッキを作成し、運の要素もある頭脳競技 |
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2020年にコロナウィルスが世界中に蔓延し、ほとんどのスポーツ試合が中止になっても、eスポーツのプロ選手たちは自宅で競技を続け、私たちはストリーミングで観戦を楽しむことができました。
eスポーツ市場は年々成長しており、
そして2023年には約1,758億円になると見られています。
eスポーツへの関わり方は、プレイをしているゲーマーとしてだけではありません。
ワタクシのようにコンピューターゲームやビデオゲームは一切しなくても、観戦を楽しむ人々も多いのです。
人が集まる場所には金も集まると言われますが、eスポーツの試合もサッカーやテニスと言った他のスポーツと同じようにブックメーカーで賭けることができます。
ストリーミングのチャットを見ていると、ベットをして観戦している人、観戦しながらライブベットでベットをしている人(ワタクシもですが)も多いようです。
コロナウイルスの影響でスポーツ試合がことごとく中止となり、大きな痛手となったブックメーカーにとって、eスポーツベットは救世主だったことでしょう。
一方、日本のeスポーツ競技人口は390万人、競技人口以外に観戦、ストリーミングでの視聴者は160万人と、お隣、韓国に比べても半分以下の少なさ。
さらに日本で人気のeスポーツタイトル(ゲーム)と、世界で人気のeスポーツタイトルではかなりの違いがあります。
日本で人気なのは「モンスターストライク」「ストリートファイター」「鉄拳7」「シャドウバース」などが挙げられますが、世界で人気なのは「Dota 2」「Fortnite」「LoL」「CS:GO」といったタイトル。
これらのゲームはPCのみでプレイできるタイトルであるのに対し、日本ではスマホでプレイできるゲームが流行っています。
かつてゲーム大国と言われ、ゲーム市場では世界の約10%を日本が占めているにも関わらず、なぜeスポーツに関しては後進国になっているのでしょうか。
それにはさまざまな要因があり、その1つはコンシューマーゲーム機(家庭用ゲーム機)が日本には早く普及し、未だに人気が高い事が挙げられます。
そのため、世界で人気のオンラインPCゲームが日本ではあまり普及していないのです。
また、eスポーツの発展に歯止めがかかっている大きな理由は日本の法規制にあります。
日本では賭博規制と景品表示法により、海外のように高額賞金を設定できません。
海外のeスポーツ大会ではチケット代金やゲームユーザーからの売上を賞金に充てることもありますが、日本ではこの方法が景品表示法違反や賭博罪に抵触する可能性があります。
そのため、日本ではゲーム企業やイベント会社が大会の賞金を用意することになりますが、高額な賞金を工面できる大きな企業が少ないのです。
さらに、賞金の低さから強いプロ選手を育成するのが難しい環境にあります。
賞金が低ければゲーマーとして生計を立てるのは難しく、ゲームのスキルを磨く事に専念できる環境が整っていないのです。
日本にはチーム戦となるタイトルで強いチームが少ないのも、この問題によることから。
才能のあるゲーマーたちがいるにもかかわらず、その才能を育成する環境が整っていないことはとても残念ですね。
それでもゆっくりと、日本でも【eスポーツ】認知度と人気は上昇しています。
これまでスポンサーとなっていたのはゲームやeスポーツに関連のある企業がほとんどでしたが、近年では「Honda」や「コカ・コーラ」、「KDDI」「日清食品」「再春館製薬所」といったeスポーツに関わりのない大手企業がスポンサー参入しています。
日本でのeスポーツタイトルも「Fortnite」や「Call of Duty」の人気が上昇しており、まずは世界で人気のタイトルを盛り上げなければ、日本はますます「ガラパゴスEスポーツ化」してしまいます。
子供の頃はよく「ゲームばっかりしてないで勉強しなさいっ!」と怒られたものですが、現在の日本もビデオゲームは「遊び」というイメージがまだまだ強く根付いています。
ワタクシは「何でも極めればお金になる」という考えをもっています。
昔とは違い、世界のトッププレイヤーになれば、ワタクシの給料なんて足元にも及ばないほどの年収が得られる「プロゲーマー」ですから、海外なら息子や娘がゲームばかりしていたら「ゲームをしたいなら世界のトップを目指せ」と言う時代になっているのかもしれません。
日本の【eスポーツ】普及にはまだいくつかの課題が残っていますが、世界で急成長しているeスポーツビジネスに、日本のガラパゴス化が進まないことを願います。