主にサッカーで見られるベットの種類、アジアンハンディキャップ。
ブックメーカーのサポートをしていた時にワタクシの興味を引いたのは、その名前から。なぜ【アジアン】なのか???
調べてみると、このベット方法、始まりはインドネシアのブックメーカーで、「hang cheng betting/ハンチェンベッティング」として提供され、21世紀初頭に人気を集めました。
その後、世界に広がり【アジアンハンディキャップ】と名前を変えました。発祥がインドネシアだったので、「アジア」と付けたのでしょう。
アジアンと付いているだけに、通常のハンディキャップとは少し異なります。この違いを理解していない方も多く、実際にアジアンハンデでベットしているべッターさんでさえ「なぜ配当はこの金額になるのか?」という問い合わせがあることも、ブックメーカーサポートとして働いていた時に少なくありませんでした。
このページで【アジアンハンディキャップ】がどのように機能するのか、そしてそのメリットは、通常のハンディキャップとはどう違うのか、を学びましょう!
もともとハンディキャップの目的は、引き分けを排除するためにあります。
通常のハンディキャップは「+0.5」や「−1.5」といった、0.5刻みでハンディキャップ(ハンデ)が与えられますね。
そうすることで、1-1 の引き分けに終わった試合も、ハンデをつけた後の結果が 1.5-1 や 1-0.5 となることで勝敗が明確になります。
小数点が付いたハンデが与えられるのは、そのためなのです。
しかし、時にハンディキャップ、そしてアジアンハンディキャップ共に、小数点の付いていないハンディキャップが与えられることもあります。
小数点が付いていない場合、ハンディキャップを付けた後でも結果が引き分けに終わることがあります。
例えば、2-1 で終わった試合の1得点のチームにハンディキャップ+1 が付いていれば、2-2になりますね。
この場合、ハンディキャップ、アジアンハンディキャップ共に賭け金は返金となります。
では【アジアンハンディキャップ】が通常の【ハンディキャップ】と最も異なる点は何なのか?
それは、【アジアンハンディキャップ】には ±0.25 や ±0.75 といったハンディキャップがあること。
引き分けを排除するためなら、±0.5 で十分なはず。なぜ ±0.25 や ±0.75 といった半端なハンディキャップがあるのか疑問に思う事でしょう。
この点が、【アジアンハンディキャップ】の特殊な点で、払い戻し金額に影響する点となります。
+0.25 と +0.75 のハンデでは、配当が変わるのです。-0.25 と -0.75もしかり。
どのように払い戻しが異なるのか、以下の【アジアンハンディキャップの払い戻しチャート】を見てみましょう。
色付けされていない「±」のハンディキャップは通常のハンディキャップと同じように払い戻されます。
ピンクに色付けされたハンディキャップは【アジアンハンディキャップ】特有のハンディキャップとなり、オレンジで色付けされた払い戻し方法が【アジアンハンディキャップ】特有の「配当」となります。
表の見方:以下の各ハンディキャップ数値にベットし、実際の試合結果が「勝利/ドロー/負け/1点差または2点差以上で勝ち負け」した時の配当(払い戻し)の違いを見ましょう。
※「50%勝利」とは、賭け金に対して支払われる配当金の半額が受け取れます。例えば、3.0オッズに$10ベットし、結果が50%勝利の場合は$15が配当として支払われます。
※「賭け金半額払い戻し」となった場合、$10ベットすると$5が戻されます。
ここでひとつ、例を挙げてみましょう。
実際の試合結果が1-1の引き分けで終わった場合の、−0.25ハンデと−0.75ハンデで賭けていた場合を比較してみます。
の場合、どちらも「負け」とはなるものの、
といった違いがあります。
一方、実際の試合結果が1-1の引き分けで終わった場合にハンデ+0.25 と+0.75 にベットしていた場合は、
このように、+0.25と+0.75のハンデでは、配当に違いがあります。上の表を見ると、どのような払い戻しのパターンかが分かりますね。
アジアンハンディキャップには、ハンデが2つ付いているオッズがあります。
これはスプリット/Splitと呼ばれるアジアンハンディキャップで(正確には、±0.25 や ±0.75のハンデがない場合、通常のハンディキャップですが)、これに賭けると自動的に賭け金は二種類のハンデに均等に賭けられます。
例えば画像の【チェルシー(-0.5 ,-1.0)オッズ1.89】に10,000円をベットすると、-0.5ハンデに5,000円、-1ハンデに5,000円を賭けたことになります。
この、スプリットアジアンハンディキャップ(またはスプリットハンディキャップ)は、ベット額が必ず2つのハンデに均等に賭けられ、どちらかを多めにすることはできません。また、どちらも的中する必要はなく、片方だけ的中でも払い戻しがあります。
スプリットアジアンハンディキャップへ賭けた場合の結果は、以下の5通りの結果が考えられます。
ハンデを適用した結果が引き分けになる場合、その賭け金は返金となります。
例えば画像の【チェルシー(-0.5 ,-1.0)オッズ1.89】に10,000円をベットし、実際の試合が2-1でチェルシーが勝利したとします。
チェルシーのハンデ-0.5 と-1.0に半々に賭けているので、ハンデを適用した結果は
1.5-1 と 1-1 になります。
この場合、5,000円の賭けは「勝ち」となり、5,000円の賭けは「引き分けで返金」となるので、
勝ちベット 1.89×5,000=9,450 に引け分けベット額の返金 +5,000円 となり、14,450円が払い戻されます。
もしチェルシーが2-0で勝っていれば両方の賭けが的中となり、18,900円が払い戻されます。
これが本来のアジアンハンディキャップですが、実際にいろんなブックメーカーを見てみると、最近のアジアンハンディキャップと書かれているマーケットには、±0.5 や ±1.5 などのハンデはよく見ますが、±0.25 や ±0.75 といったハンディキャップを見ることはあまりありません。
そのかわり、スプリットアジアンハンディキャップをよく目にするようになりました。
ワタクシ自身もブックメーカーのサポートをしていた時には、アジアンハンディキャップについてスポーツブックマネジャーに質問しましたが、完全には理解できず、検索しても正しい説明をしているサイトも少なくて(特に日本語サイトでは)理解するのに時間がかかりました。
実際にアジアンハンディキャップで賭けているベッターさんでさえ、払い戻しのルールが分かっていなかった方もいるくらいですからね。そうなると、±1.25 や ±0.75のアジアンハンディキャップに賭ける人は少なかったのではないでしょうか。それで段々とシンプルになっていたのでは、と推測します。
日本語サイトのアジアンハンディキャップの説明でも、±0.25 や ±0.75のハンデに関して説明しているサイトはわずかで、通常のハンディキャップと同じ説明となっているサイトが多くあります。
しかしこのページを読んだあなたは、アジアンハンディキャップの正しい知識を得たはずです!
アジアンハンディキャップの仕組みを理解した後に脳裏を過るのは
という疑問ではないでしょうか?
ベットをする上で少しばかり退屈な「引き分け」という結果を避けるためなら、ハンディキャップで十分です。
それなのに人々がアジアンハンディキャップでベットする理由は、バンクロールのコントロールができるという特徴があるからではないでしょうか。
ワタクシは滅多にサッカーベットはしないのですが、ワタクシが毎日ベットしているEスポーツでアジアンハンディキャップが適用されたとしたら、バンクロールのコントロールと保険のように使います。
自分の中でそこまで自信のないハンデにベットする場合、ハズれた時のために半額でも賭け金の戻ってくるハンデにベットすることでしょう。
保険の契約をする際に、万が一のことが起こった際、積み立て金に保証がないもの、支払っている積立金に半額の保証があるもの、積み立てた積立金の半額を提供してもらえるもの、積立金全額が支払われるもの、という考え方をすれば違いが分かりやすいのでは。どんな事態が起こりえるかを考えた上で、最も最適なプランを選んでください、といったようなものです。
大勝を狙わず、確実にバンクロールを増やしていくのには最適なのがアジアンハンディキャップではないでしょうか。
さて、最後になぜアジアンハンディキャップはサッカー特有のベットとされているのでしょうか?
個人的な考えとなりますが、サッカーは他のスポーツに比べると得点の入りにくいスポーツです。
Eスポーツやバスケ、卓球のように得点がどんどん入るゲームではないので、そんな試合の予想をより盛り上げるため、より多くの選択肢をベッターに与えるために生まれたのではないでしょうか。
サッカーファンのみなさん、アジアンハンディキャップを使って、バンクロールの管理とリスクマネージメントを行いながら、バンクロールを積みあげていきましょう♪